お内仏

真宗では仏壇を「お内仏」といいます。
今のような箱形の仏壇が主流になるずっと以前から、床の間にご本尊を掛けてお給仕し、生まれた意義と生きる喜びを確かめてきたのです。
ご本尊を御安置するところをお内仏というのです。決して先祖や死者を祀る場所ではありません。たとえ家庭に不幸がなくとも家庭の中心にはご本尊がなくてはなりません。

お荘厳

真宗門徒のご家庭は、それぞれお内仏を安置しています。このお内仏の荘厳(おかざり)の仕方、お給仕の方法など、およそ宗派として定っているにもかかわらず、近年いろいろな異式、異流がはびこっています。宗風にそわないような混乱は最大限さけなければなりません。家庭でもせっかくお内仏を安置したからには、教えにかなったお給仕と正しい勤行をして、浄土を願う精神をいつも保つことが大切でしょう。

お給仕

お給仕とは、お内仏のお飾りや作法にのっとり仏さまに仕えることを意味します。毎日のお給仕をとおしてお念仏の心にふれていくのです。平常のお飾りは、仏具類を所定の位置に備え、お花・灯明・お仏供・お香を備えます。お内仏は常に清潔に保ち、お花を絶やさず、お仏供をお備えし、灯明を点じ、香を焚き、合掌礼拝をもってご本尊にあう。お勤めをして教えにふれ、念仏申す生活を営みましょう。

1.  ご本尊

ごほんぞん

真宗のご本尊は「南無阿弥陀仏」です。
御絵像であれば阿弥陀如来の立像で、本山でお受けします。

2.  お協掛

おわきがけ

ご本尊に向かって右側に「帰命尽十方無碍光如来」の十字名号、または親鶯聖人のご影像(絵像)をおかけします。

3.  お脇掛

おわきがけ

ご本尊に向かって左側に「南無不可思議光如来」の九字名号、または蓮如上人のご影像(絵像)をおかけします。

4.  金灯籠

きんとうろう

お宮殿の両側に一対つるし、ご本尊のお姿を明るく照らすために用います。

5.  瓔珞

ようらく

普段は用いず、重い法要の時に用います。

6.  輔灯

りんとう

朝夕のおつとめの時点灯します。

7.  上卓

うわじょく

ご本尊の前、須弥壇の上に置く卓です。
仏器・華瓶・火舎香炉を置きます。

8.  仏器

ぶっき

お仏飯を盛る器をいいます。
朝のおつとめの後にお供えし、正午にはお下げいたしましょう。

* 十字・九字名号のお脇掛にはお仏飯はいりませんが、ご影像(親鶯聖人・蓮如上人)にはお仏飯が必要です。

9.  華瓶

けびょう

浄水を入れる器で上卓の上に一対置きます。
華瓶には水を入れ樒をさします。

* 華瓶以外の器(コップや湯のみ茶わん)に水やお茶を入れてお供えすることはいたしません。

10. 火舎香炉

かしゃごうろ

上卓の中央に置く香炉で、焼香のために用います。
向きは足の一本が正面になります。

11. 打敷

うちしき

前卓と上卓におかけする三角の織物で、お正月・お盆・お彼岸・報恩講・年忌法要などの重い法要の時のみ用います。

* 平常時はさしひかえます。

12. 供笥

くげ

お華束(小餅)をのせるもので、普段は用いず、重い法要の時のみ用います。

13. 三具足

みつぐそく

鶴亀燭台・花瓶・香炉のことを三具足といいます。

前卓

まえじょく

須弥壇の前に置く卓です。
三具足(鶴亀燭台・香炉・花瓶)を置きます。

・ 鶴亀燭台

つるかめしょくだい

亀の尾の先が手前に向くようにおき、蓮軸は実が正面になるようにします。

・ 花瓶

かひん

花器、花だてで八藤紋を内側に向けておきます。
生花を用い、ご本尊がかくれないように立てます。

・ 土香炉

どごうろ

陶器の香炉です。向きは足の一本が正面になります。
線香を香炉の大きさに応じて数本折り、火の付いた方を左に向け灰の上に横にしておきます。

* 線香を立てて使用することはいたしません。

14. 木蝋

もくろう

平常時、鶴亀燭台に立てる木製(朱塗り)の蝋燭です。

16. 香盒

こうごう

お香を入れる入れ物です。

18. 過去帳台・過去帳

かこちょうだい・かこちょう

平常は法名軸を用いますが、法名軸にかけきらない場合は過去帳に亡くなられた方の法名・命日を記します。
真宗では位牌を用いることはありません。

19. 鈴

りん

おつとめをする時に用います。

*おつとめをする時以外は一切打ちません。

20. 撥

ばち

鈴を打つ棒で、おつとめの時以外はりんの中に正面を向けておきます。

21. 鈴台

りんだい

鈴を置く台を鈴台といい、大谷派では四角形の鈴台を用い金欄輪の上に鈴を置きます。

22. 和讃箱

わさんぱこ

おつとめに使う「三帖和讃」を入れておく箱。

23. 和讃卓

わさんじょく

おつとめの本をのせる卓。

24. 御文箱

おふみばこ

御文を入れておく箱。

*真宗では正式には法名軸を用い、位牌を使用することはいたしません。法名軸はお内仏の内側、左右両側面におかけします。

*ちなみに当派が定める仏具は真鍮製が正式です。
紫銅や陶器のもの(土香炉以外)は使用しません。
香盤・香盒は塗りのものを用いますが、供笥は白木地または金箔のものを用います。

お内仏のお給仕と作法をよく理解して、その時々にふさわしいお飾りをするように心がけましょう。


 

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